トランプ、CBDで年間640億ドル削減の可能性を言及

トランプ × CBD × 640億ドル
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CBDと高齢者医療:エンドカンナビノイドシステムの役割

2025年9月28日、ドナルド・トランプ大統領がSNSにシェアした動画が大きな注目を集めました。
この動画は、高齢者の健康課題に対するヘンプ由来CBDの役割を強調する内容で、特に「CBDをメディケアでカバーすることは“世紀最大の高齢者医療施策”になる」と訴えかけています。

動画のナレーションでは、私たちの体に存在するエンドカンナビノイド・システム(ECS)に焦点が当てられました。
ECSは1990年代に発見され、各器官やシステムをつなぐ「指揮者」のような役割を持つと言われています。
しかし、加齢とともにこのシステムは弱まり、痛み・炎症・睡眠障害・認知機能低下といった典型的な高齢期の症状が現れやすくなります。

従来、医師はこうした症状に対して鎮痛薬や睡眠薬といった依存リスクのある薬剤を処方してきました。
一方で、運動・食事・ストレス管理などの生活習慣改善は効果が出るまでに時間がかかるため、十分な解決策にはなりにくいのが現状です。

そこで動画では、「ヘンプ由来CBDがECSを短期間で回復させる可能性がある」と強調し、シニア医療の新しい選択肢として提示しました。

実際に、アメリカではすでに高齢者の約20%がCBDを利用しているとされ、関節炎やがんの疼痛、不眠症、アルツハイマー病の症状緩和など幅広い用途で使われています。
しかし、市場にはFDA(米食品医薬品局)の基準が整っておらず、医師も十分な知識を持っていないことから、患者が自己判断で利用する状況が続いています。動画はこの点を問題視し、医師教育と制度整備の必要性を訴えました。

↓ エンドカンナビノイドシステムについては以下 ↓

年間640億ドル削減という試算の根拠

この動画の中で特に注目されたのが、大麻を医療制度に統合した場合、年間640億ドルのコスト削減が可能だとする試算です。これは世界的コンサルティング会社PwC(プライスウォーターハウスクーパース)の分析に基づき、フォックスニュースの報道でも紹介された数字です。

トランプ氏自身も2018年に「ファームビル」に署名し、THC含有量0.3%以下のヘンプを連邦レベルで合法化しました。この法改正はCBD市場の拡大につながり、「CBDを制度に組み込む第一歩」として評価されています。今回の動画は、これをさらに一歩進めて公的保険制度の中でCBDを位置づける構想を示したものと捉えられます。

トランプ政権の再スケジューリング判断

トランプ政権は現在、大麻を規制物質法のスケジュールI(最も厳しい規制)からスケジュールIII(医療利用可能な分類)へ移行させる提案について検討を進めています。動画の公開は、まさにこの判断が迫る局面で行われたため、政策的な意味合いも強いと見られます。

一方で、共和党内には「THCを痕跡レベルでも含む製品を禁止すべき」という強硬な声も存在します。
これは実質的にCBD市場そのものを壊滅させるリスクを孕んでおり、産業界からの反発も大きい状況です。
トランプ氏がCBDを「高齢者医療の切り札」として前向きに取り上げたことは、この内部の意見対立に一石を投じる動きといえるでしょう。

さらに動画は「医師にエンドカンナビノイドシステムを教育し、CBDをメディケアでカバーし、何百万もの高齢者に必要な支援を提供する時だ」と主張しています。

世論調査に見る大麻政策への姿勢

最近の複数の世論調査からは、アメリカ国民の意識が変化していることが浮き彫りになっています。

  • CPEAR調査(2025年6月):有権者の約70%が連邦レベルでの大麻禁止の終了を望んでいる。
  • Fabrizio, Lee & Associates調査:共和党支持層の多数が大麻の再スケジューリングを支持し、さらに「州ごとの合法化を連邦政府が干渉せず認める」ことに対しては平均的有権者以上に賛成。
  • Marijuana Moment/NuggMD調査:現時点でトランプ政権の大麻政策に不満を持つ利用者は多いが、規制緩和が実現すれば態度を変える可能性が高い。
  • SAM(Smart Approaches to Marijuana)調査:独自の設問で「再スケジュールに反対が多数」と主張。しかし、設問が誘導的だとの批判も出ている。

こうしたデータは、国民の多くが規制緩和を望んでいる一方、政策判断は依然として政治的駆け引きに左右されている現実を示しています。

今後の展望

トランプ氏の今回の動画は単なるPRにとどまらず、以下の重要な論点を浮き彫りにしました。

  1. 医師教育──ECSやCBDについて医師が体系的に学ぶ仕組みを整える必要。
  2. 保険補償──メディケアでCBDをカバーすれば利用者が急増し、薬剤費削減につながる可能性。
  3. 市場の安定化──再スケジューリングが実現すれば、研究や流通が法的に安定。ただし、THC含有量をめぐる規制議論は継続。
  4. シニア医療の質向上──痛みや不眠に悩む高齢者にとって、CBDは生活の質を大きく改善する可能性がある。

ただし、ここで注意すべきは「動画の主張=科学的に確立されたエビデンス」ではないという点です。CBDの長期的な安全性や有効性については依然として研究段階であり、政策の判断はエビデンスとリスク管理に基づく必要があることを忘れてはいけません。

まとめ

トランプ大統領がSNSで紹介した動画は、CBDを「世紀最大の高齢者医療施策」と位置づけ、年間640億ドルの医療費削減が見込めると訴えるものでした。背景には、大麻の再スケジューリングをめぐる政治判断が控えており、CBDを中心とした医療政策の方向性は今後の全米の大麻産業と医療制度に大きな影響を与える可能性があります。

世界の医療は、医療大麻をきっかけに変わろうとしています。
もう医療大麻を無視することはできません。

出典

Marijuana Moment
Kyle Jaeger, Trump Posts Video On Medical Benefits Of Cannabis For Seniors As White House Weighs Rescheduling (2025-09-28)

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