線維筋痛症は、原因がはっきりせず全身に広がる痛みが続く疾患です。
症状は痛みだけでなく疲労・睡眠障害・精神的負担など多岐にわたります。
本記事では、線維筋痛症の原因と症状を中心に、診断方法や治療法をわかりやすくまとめました。
線維筋痛症とは?
線維筋痛症は、原因不明の慢性疼痛(全身の痛み)を中心とした疾患です。
もう一つ重要なのは、血液検査やレントゲンでは異常が出ないことです。
特徴
- 全身の広がる痛み
- 長期間つづく(3か月以上)
- ストレス・天候・疲労で悪化しやすい
- 痛みの検査(血液・レントゲン)では異常が出ない
体に異常がないように見えるのに、本人は確かに強い痛みを感じている。このギャップが、診断を難しくし、患者さん自身を悩ませる要因にもなっています。
線維筋痛症の原因
線維筋痛症の原因は、現時点では 1つに特定されていません。
むしろ「さまざまな要因が重なることで、中枢神経の痛み処理が変化し、全身の痛みとして表れる」という考え方が主流です。
中枢神経の痛み処理の異常(中枢性感作)

もっとも注目されているのが、脳や脊髄など痛みをコントロールする中枢神経の感受性が高くなる現象です。
本来なら痛みと感じないほど弱い刺激でも、脳が強い痛みとして認識してしまうため、外傷がなくても「全身が痛む」ように感じることがあります。
体内カンナビノイド不足(CECD)
近年、世界の疼痛研究で注目されているのが、体内カンナビノイドの不足です。
私たちの身体には、エンドカンナビノイドシステムという痛み・睡眠・ストレス・免疫を調整する仕組みがあります。
これがうまく働かなくなると、身体のバランスが乱れ、慢性的な痛みや疲労、睡眠の質低下につながると考えられています。
精神的・身体的ストレス
線維筋痛症の発症や悪化には、ストレスが大きく関わると言われています。
- 過去の強いストレス
- 長期の疲労
- 自律神経の乱れ
過去の心の傷、長期に続く強いストレス、慢性的な疲労などが、自律神経のバランスを崩し、痛みを感じやすい体質につながる可能性があります。
線維筋痛症の症状
線維筋痛症では、痛み以外にも多くの症状がみられます。
症状は人によって異なり、日によって良い日・悪い日がはっきり分かれるのが特徴です。
身体症状
- 全身に広がる慢性的な痛み
- 筋肉のこわばり・張り
- 慢性的な疲労感
- 頭痛・片頭痛
- 手足のしびれ・倦怠感
睡眠障害
- 寝つきが悪い
- 眠りが浅く、途中で目が覚める
- 睡眠の質が低下し、翌日の疲労や痛みが悪化しやすい
精神症状
- 不安感
- 気分の落ち込み
- 思考がまとまらない
感覚過敏
- 光・音・においがつらく感じる
- 普段は気にならない刺激が、強い不快感として感じられる
線維筋痛症の診断方法
線維筋痛症には、血液検査やレントゲンで決定的に分かる特別な数値がありません。
そのため、診断は症状の聞き取り(問診)+他の病気がないかの確認を組み合わせて進めていきます。
- 詳細な問診
痛みの場所・広がり・続いている期間、日常生活への影響などを丁寧に確認します。 - 症状の評価(痛みの範囲・経過)
痛みが体のどこに出ているか、どれくらい辛いかを、「痛みの分布表」などで整理します。 - 他の病気を除外
関節リウマチ、甲状腺の病気、神経疾患など、似た症状を起こす病気がないかを確認します。 - ACR診断基準(国際基準)で評価
痛みの範囲(WPI)と、疲労・睡眠・認知症状などの重症度(SSスコア)を組み合わせて、総合的に診断します。
痛みは強いのに、検査では異常が見つからない、
この特徴が線維筋痛症の診断を難しくしています。
そのため、患者さん自身が日々の症状をメモして持参すると、診断の精度が上がることがあります。
当院の診断方法
当院では、西洋医学の評価に加え、タイ伝統医療の方法で、身体のバランスや痛みの原因を丁寧に確認します。
- 脈診(脈の強さ・速さ・リズム)
身体のエネルギーバランスや疲労状態を読み取ります。 - 舌・肌色のチェック
血流・冷え・熱のこもりなど、体質の偏りを確認します。 - 筋肉のこわばり・触診
痛みの出ているラインや緊張部位を見極めます。 - 睡眠・疲労・ストレス状態の問診
線維筋痛症で悪化しやすいポイントを細かく把握します。
これらをもとに、体質に合ったハーブ・CBD・医療大麻・マッサージ などの治療方針を提案します。
線維筋痛症の治療法
線維筋痛症の治療は、1つの薬で完全に治すというより、「症状を和らげ、生活の質を上げる」ことを目的に組み合わせるのが基本です。
薬物療法
- 鎮痛薬
- 抗うつ薬
- 抗けいれん薬
- 睡眠薬
線維筋痛症では、いわゆる一般的な鎮痛薬が効きにくいことがあり、神経の働きを調整するタイプの薬が選ばれやすい傾向があります。
非薬物療法
薬に頼りすぎず、身体の回復力を引き出す方法として重要です。
- ストレッチ
- 運動療法
- 認知行動療法
- リラクゼーション
- 睡眠環境改善
補完療法
医療機関の治療と並行して取り入れられることが多い方法です。
- 鍼
- マッサージ
- アロマセラピー
- CBD などの成分利用
医療大麻についての効果や、処方方法は次の記事でご紹介します。

日常生活でできるケア
線維筋痛症は、治療によって症状を和らげることができますが、日常生活の工夫も症状の安定に大きく影響します。
- 睡眠リズムを整える
- 無理のない運動
- 休息を意識してとる
- ストレス対策
- 天候の変化に合わせた体温調整
まとめ
線維筋痛症は、原因が一つに特定できない複雑な慢性疾患であり、「痛み・疲労・睡眠・精神面」の複数の症状が重なって現れるのが特徴です。
治療の基本は、薬物療法に加え、運動・睡眠改善・心理的サポートなどを組み合わせて、生活の質(QOL)を高めていくこと。
日常の小さな工夫の積み重ねが、症状の安定につながります。
よくある質問
- 線維筋痛症は治る?
-
線維筋痛症は、現時点では「完全に治る」と言い切れる治療法はありません。
ですが、症状を大きく改善し、日常生活を続けられる状態にすることは可能です。 - 線維筋痛症とうつの関係は?
-
線維筋痛症では、長く続く痛みや疲労によって、不安・抑うつが二次的に起きやすくなるとされています。
- 線維筋痛症に運動は逆効果?
-
激しい運動は痛みを悪化させることがありますが、軽いストレッチやウォーキングなどの低負荷運動は痛みの軽減に有効とされています。
- どの科を受診すればよい?
-
線維筋痛症の診療は、リウマチ科・ペインクリニックなどが対応していることが多いです。
当院では、タイ伝統医療と医療大麻・医療大麻治療を組み合わせた痛み・睡眠の改善サポートを行っています。


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