医療大麻で線維筋痛症は治るのか?

線維筋痛症は、全身の強い痛み、慢性疲労、睡眠障害などが続く難治性疾患で、日本では十分な治療が難しいケースが多くみられます。

近年、海外では、体内のカンナビノイド不足が原因である可能性が有力とされるようになりました。
そのため、「医療大麻」が補完療法として注目されています。

本記事では、現時点での研究エビデンス、期待できる効果、副作用、安全性、そしてタイで受けられる医療大麻治療の流れまでわかりやすく解説します。

線維筋痛症になる原因

線維筋痛症の原因は、いまだ完全には解明されていません。

現在もっとも有力なのは、中枢神経の痛み処理が過剰に反応してしまう「中枢性感作」が関わるという考え方です。

弱い刺激でも強い痛みとして感じたり、痛みが長く続きやすいのは、この中枢性感作によるものとされています。

さらに近年、医療大麻研究の進展により、体内カンナビノイドの不足(CECD)が線維筋痛症に関与している可能性が注目されるようになりました。

私たちの身体には、もともとエンドカンナビノイドを生成し、
神経・免疫・ホルモンのバランスを調整するエンドカンナビノイドシステム(ECS) が備わっています。

このエンドカンナビノイドシステム(ECS)を、医療大麻治療により整えることで、次のような効果が期待できます。

  • 痛みの強さが軽くなる
  • 睡眠が安定し疲れづらくなる
  • 不安・ストレスが軽減される
  • 筋緊張を緩める

医療大麻の効果

痛みの軽減

  • THC・CBDは、神経障害性疼痛に効果があるとされる
  • 痛みの強度が10~30%減少したというデータも多い
  • 既存薬(鎮痛薬や抗うつ薬)で改善しない痛みに有望

「朝起きた瞬間から痛い」という状態が緩和したという報告が多くあります。

睡眠改善

線維筋痛症の痛みは、睡眠の質を大きく下げます。
そういった症状にも、医療大麻は同時にアプローチできます。

  • 寝つきが良くなる
  • 夜間の痛みが減る
  • 中途覚醒が減少
  • 朝の倦怠感が軽くなる


睡眠の改善は、日中の痛み軽減につながるため、治療全体に大きな相乗効果があります。

不安・気分の不調の緩和

線維筋痛症は精神的ストレスとの相関が強いため、CBD・THCの抗不安作用・ストレス軽減作用が有効に働く可能性があります。

生活の質(QOL)向上

線維筋痛症と医療大麻に関する研究では、日常生活の満足度が大幅に上がったという報告が多数あります。

  • 歩行が楽になる
  • 仕事・家事が続けやすくなる
  • 集中力が改善
  • 痛みによる疲労が減る

さらに詳しく知りたいという方は、以下の記事で解説しています。


研究結果・エビデンス


医療大麻と線維筋痛症の関係に対する研究は、近年、急増しています。


イスラエル研究(2019)

線維筋痛症患者367名を対象に医療大麻を投与した観察研究。

  • 81.1% が痛みの「大幅な改善」 を報告
  • 平均疼痛スコア:9.0 → 5.0(4ポイント改善)
  • 睡眠の質改善:61%
  • 生活の質(QOL)改善:~80%
  • 副作用は軽度(口渇・めまいなど)

Fibromyalgia patients’ treatment with medical cannabis: a case series(2019)

ブラジル研究(2020)

線維筋痛症患者17名(THC群 vs プラセボ)
4週間のランダム化二重盲検試験。

  • THCリッチオイル群で疼痛スコアが有意に低下
  • 平均疼痛スコア:3.4 → 1.9(約44%改善)
  • 機能・幸福感も改善
  • 副作用は軽度

Ingestion of a THC-rich cannabis oil in people with fibromyalgia: A randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial(2020)

アメリカ研究(2023)

RCT 4本+観察研究5本、564名を解析。

  • カンナビノイド治療は短期的な疼痛軽減の可能性あり
  • 安全性は概ね良好

Cannabis for the Treatment of Fibromyalgia: A Systematic Review

副作用と安全性

医療大麻は比較的安全性が高いとされていますが、以下の副作用が起こる場合があります。

  • 眠気
  • 口の渇き
  • めまい
  • 一時的な心拍数の上昇
  • THCの摂りすぎによる不安

医師の診察のもと、用量調整を行えばリスクは大きく減ります。

詳しい健康リスクについては、以下の記事でご紹介しています。

よくあるご質問

線維筋痛症そのものは治るのでしょうか?

線維筋痛症は「完全に治る」というより、症状を大きく改善して日常生活を取り戻すことを目指す疾患です。

医療大麻はどのくらいで効果を感じますか?

多くの方が、1〜2週間ほどで「睡眠が深くなった」「痛みが軽くなった」と実感し始めます。

どのような症状に効果が出やすいですか?

線維筋痛症の中でも特に、

  • 朝起きた時の全身痛
  • 眠れない・中途覚醒が多い
  • 疲労感が抜けない
  • ストレスで悪化する痛み

これらは医療大麻との相性が良いと報告されています。

医療大麻は依存しませんか?

医療目的で適量を使用する場合、依存のリスクは非常に低いとされています。
THCの量を医師が調整します。

タイで医療大麻治療を受ける方法

タイでは2019年から医療大麻が合法化され、日本人も問題なく治療を受けられます。

治療の流れ

  1. 予約(LINEまたは公式サイト)
  2. 問診
  3. 治療提案(THC/CBDの配分)
  4. 医療用大麻オイルの処方
  5. 経過観察・フォローアップ

痛み、睡眠、ストレスの状態に合わせて、極めて個別性の高いプログラムで進められます。

まとめ

線維筋痛症の治療は、「痛み・睡眠・精神的ストレス」が複雑に絡み合うため、ひとつの治療法で改善するのは困難です。

その中で医療大麻は、痛み・不安・睡眠の質を総合的に改善する可能性があることから、
世界的に注目される補完療法となっています。

特に、

  • 慢性の広範な痛みが続く
  • 睡眠の質が悪い
  • 既存治療で十分な効果が得られなかった
  • 日常生活の負担が大きい

といった方は、ぜひ一度ご相談ください。

本ブログ記事は、医学的情報を提供することを目的としていますが、個別の医学的アドバイスに代わるものではありません。診断や治療については、必ず医師または資格を有する医療従事者にご相談ください。

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